ノートルダム女学院中学校 2023年度 卒業式 式辞

ノートルダム女学院中学校 2023年度卒業式 式辞

2024年319

学校長 栗本嘉子

 

 

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様、高いところからではございますが、お嬢様のご卒業、誠におめでとうございます。3年間、ノートルダム教育に共感し、信頼してご同伴頂いたことを、心より感謝申し上げます。また本日は、カトリック北白川教会のウィリアム神父様を始めとするご来賓の皆様、本日はご多用の中、ご来校賜り、誠にありがとうございます。

 

 さて、皆さんのこの中学3年間は、世界を根底から揺るがした新型コロナウイルス感染症との闘い、2年以上続いているロシアのウクライナ侵攻、その間に起こったトルコ・シリアの大地震、昨年から激化しているイスラエルとパレスチナ・ハマスとの紛争、そしてこの元旦に起きた能登半島地震、それらの国内外の大きな争いや災害によって、実に多くの命、大切な家族が奪われ、失われ、夥しい数の人々はいまだに悲嘆にくれている、そのような時である、ということを、一つ心に留めておきたいと思います。皆さんの3年間が、楽しくて、思い出に満ちたものであったと願っている一方で、このような状況で涙している人々の存在を忘れないでほしいし、皆さんは、その方々の為に、自分に何ができるのか、自分の日常はどうあるべきか、ということを、常に考え続けてほしいと願っています。

 

 昨年の体育祭では、皆さんは久しぶりに大空の下で、中学最後の学年としての学習成果発表となる集団演技種目の「エイサー」を披露してくださいました。エイサーは、皆さんも学ばれているとおり、沖縄と奄美大島でお盆の時期に踊られる代表的な民族舞踊です。お盆に戻ってこられた先祖の霊魂を想い、無事に天上に戻っていかれるように、祈りを込めて踊る、というエイサーを、皆さんはパーランクという小さな太鼓を大空に鮮やかに響かせながら、皆が一丸となって真剣に披露されました。この地方の方々が古来より大切にされて来たこの踊りに、皆さんの心と身体が集中している様子を見入りながら、私自身も、これらの困難な世界情勢の中で天に帰っていかれたすべての方々のために祈りを捧げる気持ちで見させて頂きました。言うまでもなく、命こそが一番の宝である、その命の危機が、私たちの前に絶えずある。そのような不確実な世界に住みながら、私たちは、カトリック学校である本校で、まず人間として大切なことを学びました。それは、祈るという行為です。だれかのために、だれかの幸福のために、だれかの命のために、神に祈ることができる時、私たちは、人間が過ごし得る最も尊い時間を生きているのです。チャペルで静かなひと時をもつ、それ以外でも、祈りは、どこででも、一人でも、誰とでも、行えます。言葉で祈ることも祈りであれば、沈黙の祈りもある、歌うことも祈りであれば、エイサーのように、踊ることも祈りなのです。生きること自体が祈りとなれば、これほど尊いことはないでしょう。そして、皆さんは、神様に祈りを捧げるという人間として最も崇高な行為を、このノートルダム女学院ですでに学ばれ、すでにその時をもち、これからも祈りを深めることを身につけていかれるでしょう。どうぞこれからも、皆さんは、この世界にあって、深く祈れる人となってください。

 

 本校の宝であるミッション・コミットメント、これを中学のご卒業に際して、今一度思い起こされるようにお勧めいたします。マリア様に倣って、すべてを尊び、心を込めて対話し、心を開いて共感すること。そして、人々の幸せとこの地球の平和の為に歩み始めること。そのことを改めて、一日ごとに、丁寧に行ってみてください。そうすることによって、皆さんは神様のことを少しずつ知り、そして深く祈れる人となっていくことができるでしょう。

 

 最後に、私の願い、ノートルダム教育の願いを申し上げましょう。皆さんは、マタイによる福音書514節の次のみ言葉に親しんできたはずです。「あなたがたは世の光である。」 光は闇の中でこそ輝く。そして、光は、希望を与え、迷う人と共にあってその足元を照らす。光があれば、恐れはないのです。イエスは、「あなたがたは世の光である」と言われた。光になりなさい、と言われずに、すでに、光である、と言われているのです。

 

 私の願いは、皆さんお一人おひとりが、ご自身が光であると今一度知り、ご自身の中に輝いている光に気づき、それを他者の為に使ってほしいということです。そしてその光を、ご自分の内側から人々の前に、輝かせてほしいと願っています。困っている人、泣いている人がいれば、あなたの光で照らし力づけてください。自分と異なるように見える人がいても、あなたの光で、違いよりも共に力を合わせることができる何かを探してください。それを、祈りの中で絶えず求めてください。神様は必ず、助けてくださいます。皆さんの中には、本日でノートルダム女学院を卒業され、新しい学校に進む方も数名いらっしゃいます。どうか、皆さんは、ノートルダム女学院で学ばれた様々なことを、これからの新しい道に生かしてほしいと願っています。

 

 皆様のご卒業に際して、神様の祝福が豊かにありますよう、心からお祈りをいたします。

 

前のページに戻る