ノートルダム女学院中学高等学校 2024年度 入学式 式辞

ノートルダム女学院中学高等学校 入学式 式辞

2024年49

学校長 栗本嘉子

 

 

 新入生の皆さん、ノートルダム女学院中学高等学校へのご入学、誠におめでとうございます。本日ここに皆様をお迎えできることを、私は心から嬉しく思います。保護者の皆様、高いところからではありますが、本日はお嬢様のご入学、誠におめでとうございます。今後、様々な場面で、ノートルダム教育の実現の為に、保護者様のご協力を頂戴することと思いますが、その節にはどうぞよろしくお願い申し上げます。また、本日はご多用の中、ご臨席を賜ったご来賓の皆様方、本日は誠に有難うございます。

 

 さて、本日、皆さんはノートルダム女学院中学高等学校という家族、ファミリーの一員となられました。ファミリーとは、偶然寄せ集められた人々の集団ではなく、同じ心で成長を遂げようとする人々から成る共同体を意味します。ここ、ノートルダム・ファミリーでは、一人ひとりが神様から愛されていることを知り、自分に与えられている可能性を信じ、夢を見つけ、目標に向かって着実に歩む努力をしながら、自分の周りの人々のこと、この地球の生きとし生けるものの命と尊厳を常に思いやり、大切にし合って、一緒に成長していきます。

 

 皆さんが生きる「今」という時は、世界を根底から揺るがした新型コロナウイルス感染症との闘い、2年以上続いているロシアのウクライナ侵攻、その間に起こったトルコ・シリアの大地震、昨年から激化しているイスラエルとパレスチナ・ハマスとの紛争、そしてこの元旦に起きた能登半島地震、そして、つい最近起こった台湾での地震、それらの国内外の大きな争いや災害によって、実に多くの命、大切な家族が奪われ、失われ、夥しい数の人々はいまだに悲嘆にくれている、そのような時である、ということを、一つ心に留めておきたいと思います。それらにより天に召されたすべての人が、神様のみ許で安らかに憩われるようにお祈りいたします。また、ご遺族に、少しでも心の平安が与えられるように、そして、今なお、不安な状況の中で過ごされている方々に、神様の守りがありますように、心からお祈りをお捧げしたいと思います。この困難な時代に、真の平和への想い、大切な命への想いに、私たちの心を向けさせてくださるように、神様に信頼して祈り求めましょう。皆さんのこれから始まるノートルダム女学院での新しい生活が、楽しく充実していることを心から願う一方で、このような状況で涙している人々の存在を忘れないでほしいと思います。

 

 また、この地球の生きとし生けるあらゆる命に目を向ければ、人間の仕業によって、多くの生物たちの絶滅スピードが加速し、もう取り返しがつかない負の連鎖が起こっています。ノートルダム女学院に入学されたら、神様が大切に愛してお創りになられたこの地球上のあらゆる事象について学ばれます。どうぞ、それらをよく学んで、人間が地球環境に対して行ってしまった様々な残念なことがらに目を向けつつも、また同時に、神様の似姿に創られた人間にしか持ち得ない素晴らしい知恵、その知恵を行動に移していける決断力と勇気があることにも目を向けてほしいと思います。そして、あらゆる課題に対し、私自身に今できること、みんなで力を合わせたなら決して不可能ではないことがらをよく見極めて、生きとし生けるあらゆるものにとって美しい地球、人々が助け合い協力して、誰一人取り残さない、皆が幸せな心で生きることができる場としての社会を、築いてまいりましょう。それが、学校長としての私の心からの願いです。

 

 この後、祈りの式の中で、皆さんは、聖書の言葉をお聴きになります。「あなたがたは世の光である」というマタイ福音書第5章の言葉です。それを、よくお聴きになってください。このノートルダム女学院で、ご自分の内側に輝いている光に気づき、その光を、どうぞ、人々の前に、輝かせてください。ばらばらになっている世界を、あなたの光でつなげてください。困っている人、心細く泣いている人がいれば、あなたの光で照らし、力づけてください。自分と異なるように見える人がいても、あなたの光で、違いよりも一緒にやれる何かを見つけてください。光は、暗闇を照らします。光があれば、人は闇を恐れない。光ある限り、行くべきところへ辿りつけるのです。どうか、それを忘れないで、ノートルダム女学院の毎日の生活の中で、その光をご自身の内に育てることを学び、ここを卒業される時、世界のどこかを照らす確かなそして温かな光となられることを心から願っています。

 

 最後に、まもなく、私からお一人おひとりにお渡しする校章について、お話しいたしましょう。非常に小さなものですが、大変大きな意味が込められています。この校章の丸く描かれている部分には、本校の建学の精神、ノートルダムの魂が、言葉になって刻まれています。ラテン語で、“Virtus et Scientia”、日本語では、「徳と知」という意味です。「徳」とは、愛すること、信じること、祈ること、共感することなど、神様の似姿につくられた人間が、神様の心で生きるようにと招かれている、その証しの言葉です。そして、「知」とは、人類が築き上げてきた知恵や知識、創られたこの世界の神秘を、探究し続けることが許される力そのものです。この建学の精神を、毎日生きていくのに必要な行動の方法があります。その方法とは、聖母マリアの生き方から導き出された4つの動詞の中にあります。尊ぶこと、対話すること、共感すること、行動すること、この4つの動詞の総称を、私たちは「ミッション・コミットメント~私たちの決意」と呼んで、ノートルダム学院小学校から、京都ノートルダム女子大学まで、ノートルダムに属するすべての人にとって、とても大切にしている生き方そのものです。生きとし生けるものを「尊ぶ」こと、どんな時に心を込めて聴きながら、「対話する」こと、また、心を開いて「共感する」こと、そして、対話し、決断し、みずから「行動する」こと。どうか、今私がお話ししたことをよく理解して、今日からこのノートルダム女学院で過ごされる日々が、一人ひとりにとって幸せな毎日であるために、お互いを大切にし合いながら丁寧に生きてほしいと、校長として私は心より願っています。

 

 ご入学に際して、神様の祝福が皆さんの上に豊かにありますように、お祈りいたします。

 

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