エッセイ 図書室にて~エドヒガンに想いをよせて

今日から全校あげて、図書館での朝のホームルームが始まりました。今日、中学1年生1クラスからスタートです。キャロライン館3Fに位置する図書室、それは大変落ち着きのある、精神的な空間です。窓から見える元修道院の建物の佇まいが、静謐さをさらに深めてくれているのでしょうか。毎朝、1クラスずつ、図書室でホームルームを行うという取り組みは、全校生がもっともっとこの部屋を自分の空間と感じてほしいという願いが込められています。図書室を入ってすぐの木製シェルフには、先生たち全員で作成した推薦図書コレクションが今年初めてお目見えしました。100冊を超える選りすぐりの良書の数々を、生徒たちが興味深く手にとっています。また後に、このブログ上でお知らせしたいことの一つ、「あなたに勧めるこの一冊~ノートルダム朝読書の道しるべ」というブックレットと美しく連動した取り組みです。 

_DSC6568

 

ところで、前述した元修道院の建造物の一つである純和風建築は、「和中庵」と名づけられた大正末期の建物です。私たちは昔から通称「御殿」と呼んでいて、特別な時に招いて頂ける場所として畏敬を込めた親しみを感じていました。今日現在、私の立っている窓際と和中庵の間には、エドヒガン(江戸彼岸)と名づけられた桜の名古木が見事に満開を迎えています。手を伸ばせば届きそうな程の近さに、樹齢200年とも言われるその古木が精一杯、その繊細な枝を広げてくれています。豪華絢爛というよりは、奥ゆかしく静かに、枝々に散りばめられている桜花たち。「あなた方はレディーになりなさい」と言われた初代校長シスターメリーユージニアも、きっとこの季節に同じ花々を眺められたはず。60年後の今日、私はそのようなことを考えながら、生徒たちが知の探究に入っているこの部屋の窓のそばに佇んでいます。日々の豊かな心の栄養を本棚から、まだ窓の風景からもふんだんに与えてくれるこの図書室という特別な空間が、これからも生徒たちの優しき同伴者になってくれることを願っています。

_DSC6591

前のページに戻る