ノートルダム女学院の
教育と社会を結ぶ交差点

クラブ&生徒会活動・学校行事のこれから

テーマ1

生徒会活動やクラブ活動は、
仲間を思いやる心と協働性を
育む場

いま自分は、誰かのために、何ができるのか?

2021.04.05 配信

CASE 2

生徒会・放送局の取り組み

北島 かおる

Kaoru Kitajima

数学科 生徒会放送局顧問

教員歴17年。担当教科は数学・探究。大学では理学部数学系に学ぶ。落語研究会に所属し、人前で話す楽しさを知る。「数学も放送も相手にきちんと伝えるという点で共通している。放送局顧問として、伝えることの大切さを生徒と分かち合えるのは本望」が持論。趣味は新聞投稿で、これまでに読売新聞・朝日新聞等に計13回掲載された。その他にも、数学的にも興味深い折り紙・あやとりや、夏目漱石・太宰治などの日本語が美しい文学作品や数学関係書籍の読書も好き。

朝の聖書の時間を知らない中学1年生のために
聖書の言葉を朗読する音声放送を配信

生徒会の活動だけにとどまらず
コンクールにも強い府内有数の放送局

ノートルダム女学院の放送局は、毎日の校内放送や文化祭などの校内イベントのMCなどを担当し、現在、中学1年から高校3年までの生徒18人が運営にあたっている。
顧問を務める北島は、放送局をこう紹介する。
「放送局は、言うまでもなく“生徒による生徒のための委員会活動”のひとつです。と同時にこの放送局は、京都市・京都府内のアナウンスコンクールなどでも、優秀な成績を残してきた“クラブ活動”としての一面も持っています。3年前、現在部長を務めている貴道さんが、NHK杯全国中学校放送コンテスト京都大会「アナウンス部門」で最優秀賞を受賞したことは、ひとつの転機となりました。それ以降、レベルの高い大会の発表をみんなで研究し、レベルの高い声や話法を磨く練習方法も確立しました。近年は、多くの学校からも“アナウンスや朗読に強い府内有数の放送局”として認めていただいています」。

普段の放送局の活動の様子

■ 過去3年間の放送局のおもな受賞歴

2017年

7月 第34回NHK杯全国中学校放送コンテスト京都大会
アナウンス部門 最優秀賞 J22貴道ふみ
京都府市立中学高等学校連合会会長賞 銅賞 J22貴道ふみ
11月 きょうと薬物乱用防止行動府民会議主催「ぼくらNO!ドラッグ映像コンテスト」最優秀賞

2018年

2月 平成29年度第65回京都市中学校アナウンスコンクール
アナウンス部門A 最優秀賞 J22貴道ふみ
アナウンス部門B 最優秀賞 J22秋江真里奈
朗読部A 優良賞 J12山本小花
団体部門 優勝 放送局
7月 第35回NHK杯全国中学校放送コンテスト京都大会
アナウンス部門 優良賞 J32貴道ふみ
朗読部門 審査員特別賞 J32大久保花耶 J22山本小花

2019年

2月 平成30年度第66回京都市中学校アナウンスコンクール
団体部門 優勝 放送局
朗読部部門 最優良賞 J22山本小花
アナウンス部門A 優良賞 J23浅田結羽
アナウンス部門B 優良賞 J21井澤優衣
7月 第36回NHK杯全国中学校放送コンテスト京都大会
朗読部門 優良賞 山本小花
アナウンス部門 優良賞 井澤優衣、浅田結羽
10月 第36回京都府高等学校総合文化祭
放送部門アナウンス小部門新人賞 優秀賞 貴道ふみ
11月 第35回京都市中学総合文化祭 第31回朗読コンクール
現代文の部 優秀賞 西村京香
現代文の部 表彰状 奥野愛梨、久保花憐
12月 第9回自動車交通安全CMコンテスト
中学生部門 京都府トラック協会特別賞 放送局

放送局はさまざまなコンクールでも数多く受賞

部員全員が目標としていたNHK杯
休校後も自宅練習を続けたが中止に

今回のコロナ禍では、放送局も他のクラブ活動と同様、出場を予定していた大会の多くが中止となった。なかでも部員全員が大きな目標としていたのは、「NHK杯全国中学校放送コンテスト/全国高校放送コンテスト」だ。毎年全国で2,000校を超える学校から約2万人が参加する。5~6月に都道府県コンテストが行われ、8月には、各地区を勝ち抜いた代表が集まって決勝を競う。
「休校が始まった3月の段階では、部員たちもまだNHK杯に向けてZoomを使って熱心に練習を続けていました。コンテスト中止の知らせが届いたのは、地区大会も間近に迫った4月27日でした。すでに生徒たちは覚悟していたようで、残念な表情は見せないように頑張っていましたが、やはりせつなそうでした」。

ノートルダム女学院らしい「朝の聖書」
磨いた力を活かして聖書を朗読

コンクールは中止になった。しかし、生徒会の委員会活動としての放送局という立場から見たとき、このまま気落ちしたまま何もせずに過ごしていいのか? そんな声も上がり始めた。生徒会委員会としてみんなのためにできることを探そうと、部員からの発案で始まった活動が『聖書朗読』だ。

朝の放送で行われる聖書朗読は、カトリックの教えにもとづくノートルダム女学院らしさに満ちた静謐な時間だ。だが中学1年生は、まだ一度も登校できていないため、朝の礼拝に参加したことがない。当然、礼拝で行われる聖書の朗読も聞いたことがない。それならば、そうした1年生のために、聖書の中にある耳を傾けて欲しい言葉を自分たちで選び、朗読した音声を配信しよう。そう決まった。
第1回の放送が配信されたのは、5月21日だ。
「中学1年生を担任する先生や宗教部の先生からも「よかったよ」というお声をいただきました。部員たちも、学校に集まることができない状況、それが家からであっても、誰かのための何かをできたと実感できたのではないかなと思います」。

通常時の朝の放送での聖書朗読

何かを成し遂げていく心の強さを得て
いま自分ができることをていねいに

学校再開と同時に、放送局の活動も始まった。
今回の経験から彼女たちが得たものは、コンクールでの成果を求めるだけに限らず、他の生徒のために自分たちができることを見つけ、取り組み、形にしていく。何かを成し遂げていくために欠かせない心の強さだ。
「休校期間中に思うように練習ができなかったぶんも取り戻すべく、今年は録音で朗読を競うコンクールなどにもエントリーしました。これからも、いま自分ができることに、一つずつていねいに取り組んでいってほしいと思っています」。

オンラインでのアナウンス練習の様子

在校生VOICE

  • 久保 花憐

    中学2年生
    グローバル英語コース

    新型コロナウイルスの影響で、今年は、毎年出場している大きな大会が続々と中止になりました。全国大会に出場できるチャンスを一度失うことは、自分を試すチャンスを一度失うのと同じ。本当に残念でした。しかし、中止となった以上は、他に開催される大会に向けて頑張るしかありません。顧問の先生からも「オンラインを活用した大会に参加しよう」と声をかけてもらい、今私たちにできる練習を工夫しながら一生懸命に励んでいます。また、学校に登校して練習をできなかった期間、オンライン上で部活に取り組んだのは新しい試みでした。聖書の朗読など、部員が気持ちを一つに行動できたと思います。

  • 貴道 ふみ

    高校2年生
    プレップ総合コース

    これまでさまざまな大会で好成績を収めてきた放送局。私自身、自宅練習を欠かさず、結果にこだわって活動してきました。春に甲子園やインターハイが中止になると、私が目指す「NHK杯全国高校放送コンテスト」もなくなるのではと不安に。連日、大会サイトを確認し、中止のお知らせを発見したときは、深夜0時ごろでしたが思わず叫びました。一時は目標を失い、茫然自失の状態。しかし部長として、メンバーには「次の大会に向け、にモチベーションを上げよう」と話をしました。今目指すのはNHKの「#放送部チャレンジ 2020」と「近畿高等学校総合文化祭」の録音審査。再び練習に集中しています。