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ノートルダム女学院中学高等学校
高校3年生 Hutopia(ヒュートピア)

2022.10.07 配信

高校3年生 Hutopia
(ヒュートピア)

中井瑠音さん / 入江心愛さん
小林莉奈さん / 張惠さん

ノートルダム女学院中学高等学校

課題解決型学習の授業GWAで、たまたま同じテーマを掲げた4人が集まり、難民支援活動を展開。2021年12月大阪府枚方市くずはモールで募金活動を行い、集めた7万5千円を、大阪で難民支援活動を行うカトリック大阪大司教区社会活動センター・シナピスへ寄付した。

Hutopia(ヒュートピア)は、ノートルダム女学院の高校3年生4人からなる難民申請中の方々を支援する活動団体。
授業で先生からカトリック教会が母体の難民支援組織を紹介されたのをきっかけに、難民の方々と交流をし、日本の難民申請制度や法体系を勉強し、募金活動を実施。この経験から学んだことを聞きました。

〈私たちの活動〉
難民申請中の外国人の暮らしを支える募金活動を展開

Hutopia(ヒュートピア)の4人が活動を始めたきっかけは、GWA(グローバルワークショップA)の授業だったという。
「GWAは、外部講師による特別講演やワークショップ、校外学習などを通して、世界中に山積する地球規模で取り組むべき課題について学び、その学びを行動につなげることを目的とする授業です。どんな行動を起こすかは、興味にもとづき各生徒が決めるのですが、私たちは4人とも「日本で暮らす外国人の方が安心して暮らせる社会」をテーマにしていたので、一緒に活動することにしました(小林)」。
「具体的な行動としては、日本にいる難民の方々を支援することに決め、大阪府枚方市のくずはモールで募金活動を行いました。募金活動をして感じたのは、街ゆく人の温かさです。泣きながら募金してくださる方や、服を送りたいんだけど…と質問してくださる方、財布を取りにいったり、お金を崩してきたりして募金してくださる方もいました。一日の終わりには、目標としていた4万円を大きく上回る7万5千円を集めることができました(入江)」。

集まった募金はカトリック大阪大司教区社会活動センター・シナピスへ寄付

〈難民申請中の方との出会い〉
難民の方が暮らす施設を訪問
そこで知った人々の苦しい現状

4人の心が「難民の方々を支援する」と固まっていったのは、カトリック大阪大司教区社会活動センター・シナピスでの出会いがあったからだという。
「本当に困っている方々のために自分たちにできることは何かを考えるため、まずは自分たちなりに調べたり、人に話を聞いたりと活動を始めたのですが、なかなか自分たちがすべき活動の糸口をつかむことができませんでした。どうしていいか困っていたところ、GWAを担当する森兼先生から、シナピスの松浦篤子さんを紹介してもらったのです(小林)」。
「シナピスは難民支援や広報活動・啓発活動を行う組織で、難民の方々が住まうシナピスホームを運営しています。ホームでは、地域の方々との交流を目的に、月に数回シナピスカフェを開催しています。そこで、私たちも難民の方々からお話を聞くため、シナピスカフェを訪問。日本ではなかなか食べられない難民の方の自国の料理も、ごちそうになりました。自国を離れざるを得なかった皆さんが、自国の料理に誇りを持って説明してくださる姿には涙が出ました。私が『なぜ難民認定を受けるのが難しく時間もかかる日本を選んだのですか?』と質問すると、回答は『ただただ日本が好きだから』とのこと。私はその言葉を聞いて、ありがたいと同時に申し訳ない気持ちになりました(中井)」。

シナピスカフェで各国の料理をいただく

〈私たちを動かした思い〉
無知な自分に気がついて難民の方の問題が自分ごとになった

シナピスカフェでHutopiaのメンバーは、自分たちが何も知らなかったことに気づいていく。
「シナピスカフェで難民の方のこれまでの状況をお聞きした後、私は今後のことについて質問しました。すると『子どもを産みたいし、子どもと遊んでみたい。でももういまは希望なんてない。なんで生きているのかもわからない。みんなと同じような人間らしい生活がしたい』と答えてくださったのです。それが、すごく心に刺さりました。
恥ずかしい話ですが、シナピスの松浦さんと出会う前は、日本に難民がいることも知らず、シナピスホームに滞在する方が難民ではなく、難民申請者だということも知りませんでした。何も知らなかったと気づけばもちろん、知る努力はします。でも、知れば知るほど、ますます何も知らないことに気づいていく。世の中がどのように動いているのかも、国の政策の思惑も、本当に何も知らなかったのです。私たちは募金活動を行いましたが、それはシナピスカフェで難民の方と会い、話をし、心に来るものがあったからです。難民の皆さんがおかれている状況が自分ごとになり、何かこの人たちのために行動したい、せざるを得ない気持ちになったからなのだと思います(張)」。

毎日メンバーで集まり打ち合わせを実施

〈私たちの未来〉
私たちはまだ何者でもない
だから、どこにでも行ける

そこからの行動は、とにかく早かった。 「募金活動ができる場所を探して、いろいろな施設に電話をかけました。そして街を歩く人々に立ち止まってもらうため、ポスターをつくったり風船を用意したり、本番に向けた準備を急ピッチで進めました(中井)」。
Hutopiaのメンバーは、今回の経験が自分自身に与えた影響を次のように語る。
「私は一人ひとりの行動が社会を変えるきっかけになることを実感しました。だから、とにかく行動してみることが大切だと思いました(中井)」。
「私は今回、すごく積極的に行動できました。知ることの大切さを学べたことも、将来に必ず活かせると思います。大学進学後も、この活動を続けるつもりです(入江)」。
「今回の活動を通して、積極性や行動力の大切さを改めて感じました。これからの人生では、つまずき、立ち止まってしまうことがあるかもしれませんが、そんな時も、行動することで何かのきっかけをつかめることを、私たちは理解できました(小林)」。
「私は、正直、周りの仲間は重要だな、この4人でなかったらできなかったなと思っています。自分自身は、ほかの3人ほどの行動力はありません。でも、3人に導かれる形で実際に行動を起こしてみて、行動の大切さや、知ったり学んだりする大切さを理解できました(張)」。
最後に将来の夢について、中井さんは外交官、入江さんは保育士、小林さんは看護師、張さんは大学で人間の脳と心の関係について学びたいと語ってくれた。自分たちで課題を見つけて、課題を自分ごと化した彼女たち。活動を通じて身につけた積極性と行動力を携えて、無限の可能性に満ちた未来へと巣立っていく。