学習リテラシーを鍛え、
興味のアンテナを刺激し続ける
「STE@M探究コース」は、理系大学・学部への進学をめざす生徒向けに設けられているコースだ。高校進学時にこのコースを選択する生徒の多くは、中学校時は、「グローバル探究コース」で学ぶ。このグローバル探究コースの総合学習こそ、ノートルダム女学院の理系科目指導の特長を端的に物語っている。
グローバル探究コースでは、理科4分野(物理・化学・生物・地学)の授業とは別に、年間で約55コマ程度、理系向けの総合学習に時間を割いている。そこで重視されているのが、「探究心」の育成だ。カリキュラム作成を担う田中は語る。
「中学時代は、理系科目を学習する土台をつくる時期。中学校は小学校と違って、科目も細分化・専門化します。暗記のみに頼っていては、すぐに息切れします。そうならない原動力は、『おもしろい、もっと知りたい』と感じること。その気づきがあれば、自ら学び始めます。中学生の時にこそ、この本物の探究心を育むことが大切です」。
田中は、「カリキュラムづくりのポイントは2つある」という。一つは、学習リテラシーを鍛えること。もう一つは、興味のアンテナを刺激し続けること。
「まずは、リテラシーについて。パソコンの使い方を教えるなどはもちろんですが、あえて科学書を読むアナログな時間も設けています。『スマホでググる』ではなく、『文献を尋ねる』ための素養づくりです。レポートも書かせます。これも調べた知識を書くだけの『調べ学習』では意味がない。得た知識をこう使えばこんなことができるかもしれない。その『発展』までを書かせることが大切です」。
「二つめの興味のアンテナを刺激する、これが一番の腕の見せ所です。ベクトルの異なるさまざまな経験をさせてみる。何に反応するのかは、一人ひとり違います。何か一つでも『好き』や『おもしろい』が見つかれば、学びは自走し始めます。その選択肢をいくつも提示すること、それが何より重要な私たちの役割です」。
年度末には、探究活動発表会が開催される。生徒はそれに向けて秋までには自分でテーマを設定し、調べ、考え、まとめ、当日発表する。こうした日常的・反復的な訓練が、しなやかな探究心を育んでいく。