高校3年生の家庭演習では、今年も「染め」の奥深さに触れる特別な時間を過ごしました。
講師には、株式会社 田中直染料店より鹿児島功也さんをお招きし、日本の伝統色について教えていただきました。
今年は、深く美しい「藍」の世界に加え、初めての試みとして鮮やかな「黄檗(きはだ)」での染めにも挑戦しました。生徒たちは、媒染液に浸すことで染料の色が劇的に変化する様子に、「わぁ!」「すごい!」と感嘆の声を上げ、色の化学反応に感動していました。藍染めは、その美しい色合いだけでなく、古くから抗菌作用があることでも知られています。これは、衣類を清潔に保つだけでなく、現代のSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも非常に重要です。天然素材を用いた環境に優しい染色方法である藍染めは、使い捨てではなく染め直しをすることで長く着られるという持続可能性に貢献します。
また、黄檗は、その樹皮が古くから生薬として利用されてきたことからもわかるように、様々な薬効を持つ植物です。
その効能の一つとして抗菌作用も確認されています。古来、黄檗はその抗菌・防虫効果から、大切な経典や文書などを保護するために紙を染める際にも使われてきました。黄檗染めもまた、衣類を衛生的に保ち、色が薄れてきたら染め直して長く愛用できるという点で、持続可能な社会に貢献する染め方と言えるのです。
生徒たちは、それぞれの個性と感性を生かし、世界に一つだけの素敵な作品を完成させました。色の変化に驚き、工夫を凝らしながら、染めの工程を心から楽しんでいる様子でした。今年の染めの授業は、日本の伝統文化に触れるだけでなく、科学的な発見やSDGsへの意識も高める貴重な機会となりました。










家庭演習ではひきつづき、生徒たちの知的好奇心を刺激するような、魅力的な授業を企画していきます。