ノートルダム女学院中学校 2022年度 卒業式 式辞


ノートルダム女学院中学校 2022年度卒業式 式辞

 

2023年3月20日

 

学校長 栗本嘉子

 

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様、高いところからではございますが、お嬢様のご卒業、誠におめでとうございます。3年間、ノートルダム教育に共感し、信頼してご同伴頂いたことを、心より感謝申し上げます。また本日は、カトリック桃山教会の菅原友明神父様を始めとするご来賓の皆様も3年ぶりにお迎えいたしました。ご多用の中、ご来校賜り、誠にありがとうございます。

 

さて、皆さんは、小学校6年生の終盤にさしかかる頃より今日に至るまで、新型コロナウイルス感染症と向き合うことを余儀なくされる日々でした。不安の中で皆さんが中学生活を始めた当初は、ちょうど感染が本格的に拡大し始めた時で、それ以来一日も欠かすことなく、毎日マスクを着用しました。中学生になったばかりの、4月の桜の頃、新しい制服にそでを通すやいなや、教科書や教材をそそくさと持ち帰り、学校はそこから2カ月、異例の閉校措置となりました。新しいお友達のお名前もお顔もまだ知らないのに、自宅でのオンライン授業期間に入りました。その年、少しでも落ち着いた雰囲気でと願い、皆さんの入学式は、これも異例の7月4日に改めて行われましたね。その時はだれも、このウイルスとの闘いが3年以上も続くことになるとは予想しておらず、大切な学校行事の数々が中止や延期になってしまう事態は想像できなかったはずです。それでも、皆さんは、あらゆる創意工夫の精神で、感染症蔓延以前には考えも及ばない方法で、学習の成果発表や、文化祭やスポーツデイなどの行事をやり抜こうとしてくれました。

 

その中で先日、皆さんが体育祭で発表されるはずだった集団演技種目の「エイサー」を、体育館で披露してくださったのが中学最後の学習成果発表でした。私は、体育館バルコニー席から皆さんの様子を見せていただきました。エイサーは、皆さんも学ばれているとおり、沖縄と奄美大島でお盆の時期に踊られる民族舞踊です。お盆に戻ってこられた先祖の霊魂を想い、無事に天上に戻っていかれるように、祈りを込めて踊る、というエイサーを、皆さんはパーランクという小さな太鼓を体育館中に鮮やかに響かせながら、皆が一丸となって静謐な空気の中で披露されました。この地方の方々が古来より大切にされて来たこの踊りに、皆さんの心と身体が集中している様子を見入りながら、私自身も、亡くなっていかれたすべての方々のために祈ることができました。一年以上も続くウクライナ侵攻、そして先月のトルコ・シリアの大地震、あるいは、それ以外でも様々な災害や事故、ご病気で、尊い命が失われ、そしていよいよ、私たち人類は、感染症との共存という段階に入ってきています。言うまでもなく、命こそが一番の宝である、その命の危機が、私たちの前に絶えずある。そのような不確実な世界に住みながら、私たちは、カトリック学校である本校で、まず人間として大切なことを学びました。それは、祈るという行為です。だれかのために、だれかの幸福のために、だれかの命のために、神に祈ることができる時、私たちは、人間が過ごし得る最も尊い時間を生きているのです。チャペルで静かなひと時をもつ、それ以外でも、祈りは、どこででも、一人でも、誰とでも、行えます。言葉で祈ることも祈りであれば、沈黙の祈りもある、歌うことも祈りであれば、エイサーのように、踊ることも祈りなのです。生きること自体が祈りとなれば、これほど尊いことはないでしょう。そして、皆さんは、神様に祈りを捧げるという人間として最も崇高な行為を、このノートルダム女学院ですでに学ばれ、すでにその時をもち、これからも祈りを深めることを身につけていかれるでしょう。どうぞこれからも、皆さんは、この世界にあって、深く祈れる人となってください。

 

最後に、本校の宝であるミッション・コミットメント、これを中学のご卒業に際して、今一度思い起こされるようにお勧めいたします。マリア様に倣って、すべてを尊び、心を込めて対話し、心を開いて共感すること。そして、人々の幸せとこの地球の平和の為に歩み始めること。そのことを改めて、一日ごとに、丁寧に行ってみてください。そうすることによって、皆さんは神様のことを少しずつ知り、そして深く祈れる人となっていくことができるでしょう。

 

このようなミッション・コミットメントを掲げるノートルダム教育は、あなたの中に、すでに輝いている光に気づき、それを他者の為に使ってほしいと願っています。そしてその光を、ご自分の内側から人々の前に、輝かせてほしいと願っています。困っている人、泣いている人がいれば、あなたの光で照らし力づけてください。自分と異なるように見える人がいても、あなたの光で、違いよりも共に力を合わせることができる何かを探してください。それを、祈りの中で絶えず求めてください。神様は必ず、助けてくださいます。皆さんの中には、本日でノートルダム女学院を卒業され、新しい学校に進む方も数名いらっしゃいます。どうか、皆さんは、ノートルダム女学院で学ばれた様々なことを、これからの新しい道に生かしてほしいと願っています。

 

皆様のご卒業に際して、神様の祝福が豊かにありますよう、心からお祈りをいたします。


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